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【約 50 回】2022 年、家族で毎週ふりかえりをした話

この記事は、Feedforce Group Advent Calendar 2022 の16日目の記事です。

昨日は、アナグラム田中さんによる「クラス制のキャラ育成ができるRPGってキャリア形成のそれと似ているな...って思っただけの話」でした!

note.com

私はつい最近、フロントエンドエンジニアからスクラムマスターに社内で「転職(ドラクエ的表現)」したところでして、学生時代のアルバイトで貯めていた経験なんかが意外なところで活きたなぁと感じていたところがあったため、とてもしっくりくる内容でした!

また、運用型広告というジョブのアビリティの豊富さ・プレイスタイルの幅広さが視覚的に表現されており、運用型広告というジョブの魅力がガッツリ伝わってきました。
余談ですが、自分も赤魔道士大好きです。

何の話なんだろう?と思った未読の方、是非本文を楽しんでください!

まえがき

本記事では、この 1 年間家族でやってきたふりかえりについて書きます。
まずは 3 行で記事を紹介します。

  • 2022 年、家族で毎週ふりかえりをした
  • ふりかえりをすると、たくさんいいことがあった
  • たくさんの課題があり、工夫して乗り越えた

この記事は「家族のふりかえり」にフォーカスしたものですが、家族以外の親密な人とのふりかえりや、自分ひとりのふりかえりをしたい方にも届けたいと思って書きました。
個人のふりかえりとしても適用できます(「よかったこと」の「問題を共有できる」は軽く読み流してください)ので、よかったら読んでみてください。

はじめに

自己紹介

こんにちは、はじめまして。 @zomysan と申します。
ソーシャル PLUS のスクラムマスターです。

弊社は東京にオフィスのある会社ですが、私は関西からフルリモートで勤務しています。
フルリモートもスクラムマスターも初めての経験ですが、チームの方々に支えられ、毎日楽しく働いています!

家族について

二人暮らしです。同い年で、ゲーム、絵を描く、お菓子を食べるなど共通の趣味が多く仲良しです。
一緒に暮らし始めて今年で 9 年目になります。犬と猫が飼えるところへ引っ越すことがいまの一番の目標です。

  • 自分: @zomysan
    • 犬好き
    • 個人開発プロダクトを開発中
  • 家族
    • 猫好き
    • Web エンジニアを目指し勉強中

ふりかえりのきっかけ

2022 年 1 月、それぞれの 1 年の目標を立てました。
2021 年までも目標を立ててはいたのですが、毎年毎年日常を過ごすうちに目標について忘れてしまっていました。今年はなにかしら成し遂げたいと思い、私から毎週のふりかえりの実施を提案したところ家族も快諾してくれたため、実施することにしました。

ふりかえりの内容

実施しているふりかえりについて紹介します。

いつどれくらいやるか

毎週土曜日午前、2 時間の開催としています。
毎週 2 時間と表現すると重たく感じますが、雑談やコミュニケーションを兼ねた時間なので、いまのところ家族間での合意はできています。

ふりかえりの目的

わが家では、ふりかえりの目的を下記のとおり定めています。

  • ありたい姿に向かって、自分がどれくらい進んだのか?
  • ありたい姿に向かって、正しい方向に進めているのか?

「ありたい姿」というと何やら大袈裟な感じがしますが、大層なものでなくても構わないです。
たとえば、「できるだけ健康で、美味しいものを食べる自分」「スプラトゥーンがうまい自分」「できる限りしんどいことはしたくない」みたいなものは、全部「ありたい姿」のひとつです。
こういう感じなら、誰しも「ありたい姿」を持っているのではないでしょうか?

ふりかえりをすることで、自分の生活と「ありたい姿」のギャップを確認し、そこを目指すための軌道修正ができます。 わが家では週に 1 度ふりかえりをしているので、「ありたい姿」を目指すための軌道修正が毎週できているということになります。

YKPT + ファイブフィンガー

いわゆる「YKPT」という方法を少しアレンジし、ふりかえりをおこなっています。

YKPT の詳細は省きますが、客観的事実のみから成る「やったこと(Y)」、「やったこと」に基づく「よかったこと(Keep)」、「改善したいこと(Problem)」を書き出し、それに基づいて「次やること(Try)」を決めるという手法です。

また、ファイブフィンガーという手法で、ふりかえりのふりかえりをおこなっています。
ふりかえりについてもカイゼンを繰り返し、次の週はもっとよいふりかえりができるようにしたいと考えています。

これらと併せて、家計簿等を見返す「お金のふりかえり」、アプリの利用時間やゲームのプレイ時間等を見返す「時間のふりかえり」もやっているのですが、今回はこれらについての詳細は省きます。

実際の様子

実際のふりかえりの様子をスクリーンショットですこし紹介します。これは「やったこと」「よかったこと」「改善したいこと」の一部が見えています。

ふりかえりをしてよかったこと

さて、ここまではふりかえりの概要を紹介してきました。ここからいよいよ、約50回のふりかえりから得た経験について紹介していきます!
まずは、ふりかえりをしてよかったことについて挙げます。

問題を共有できる

一緒に暮らしていると、ちょっとした困りごとや、変えてもらうようお願いしたいことが出てくるものですよね。
わが家ではふりかえりの場がそういった「問題」を共有する場所として機能しています。

「いまは改善したいことを挙げる時間ですよ」と区切られていることで、ちょっと言い出しにくいことも表現しやすいです。「発生した課題と解決方法」で詳しくお話ししますが、言い出しにくいことを言い出すための工夫もしています。

1 年のふりかえりを通して、どういう課題であっても、「相手を責めたり押し付けたりするのではなく、解決方法について一緒に真剣に考える」ことで解決することを信じ、安心して話せるようになりました。このことで、さらに「改善したいこと」が出てきやすくなり、カイゼンにつながっています。

課題が解決する

ふりかえりをせずに過ごしていると、困っていることがあってもなんとなくそのまま過ごしてしまいます。ふりかえりで「改善したいこと」「困っていること」をあらためて書き出すことで、すぐに対応できます。
たとえば、「寒くて目が覚める」という課題を数年間見過ごしてきたのですが、今年は敷く毛布を買って対応できました。

そのほかには、「本を読む時間が 0 分だった」という客観的事実から、「寝る前に本を読む時間をとる」という改善すべきことが見つかりました。
これに対し、「自由時間を就寝時間ギリギリまでではなく、30 分前までとする」という行動をとり、無事に 1 週間に数時間の読書時間を確保できるようになりました。

悩まなくていい悩みを捨てられる

「課題が解決する」では、本を読む時間を確保できるようになったことについてお話ししました。
じつはその後私に起きたことなのですが、個人開発の時間が膨らんで読書時間が減っていってしまいました。個人開発の時間を削ることについても考えたのですが、「いまは読書よりも開発の時間をとることを優先したい」と考えている自分に気づきました。読書できていないことで悩まなくていいのだと、漠然と持っていた「できていない気持ち」を捨てることができました。

日常を過ごしていると、ついあれもこれもと考えてしまいがちです。ふりかえりの場で自分の優先順位を確認することで、自分が本当に集中したいこととそうでないことを振り分け、優先度の低いことに心を煩わされないようにしたいですね。

それはそうとして、なんとかして読書の時間は確保したいものです。明日の家族会議で話してもいいかもしれません。

出来事が蓄積される

「やったこと」でその週にあったことを客観的事実として挙げます。これは、「よかったこと」「改善したいこと」につなげるための思い出しなのですが、挙げた「やったこと」自体にも価値があると感じます。

書いたカードは、すべてとっておき、ふりかえりをした順番に蓄積していきます。そうすると、楽しかったお出かけや、美味しかった自炊、外食、達成したことや困ったことなど、さまざまな「今年 1 年あったこと」のまとめになります。

もうすぐ年末休みなので、我が家でも家族で 1 年分の「あったこと」をまとめて見返す予定です。とても楽しみです!

発生した課題と解決方法

ここまでふりかえりの良かったところについて書きましたが、楽にこれらを得たわけではありませんでした。

ふりかえりをやっていくと、大小さまざまな課題が発生します。
その中でもインパクトが大きかったものについて、どういう課題だったか、どのように解決したのかを紹介します。

決めた「次やること」を忘れてしまう

せっかく「次やること」を決めてリストにしたのに、すっかり忘れたまま 1 週間を過ごす。
そして、次週のふりかえりの開始時「こんなのあったな……」と呆然とリストを眺める、ということがありました。

→ 解決方法: 朝会を実施

「次やること」で決めたことを守れているか、やると決めたタスクはこなせているかを確認するため、朝にも短い家族会議をすることに決めました。わが家ではそのまま朝会と呼んでいます。

朝会で「次やること」を確認することで、日常のなにかを変えるような取り組み(「水をしっかり飲むためにお湯を 10 時に沸かす」など)についてあらためて認識できます。また、タスク的な取り組み(「敷き毛布を買う」「保温ケトルを買う」など)についても、その日の TODO に落とし込むなどして 1 週間のうちに確実に消化しきることができるようになりました。

余談ではありますが、朝会ではふりかえりの「次やること」の確認に加え、以下のような取り組みもやっています。

  • 直近の家族の目標を確認
  • 当日・直近のスケジュール確認
  • それぞれの「今日の TODO」を付箋に書く

これも朝会をやっていく過程で試行錯誤があり、ふりかえりを通して今の形になりました。

「改善したいこと」の話し合いが精神的につらくなる

「改善したいこと」の深掘りではお互いにマイナスのフィードバックをするような場面も多く、「えっ」「いやいや」と言いたい気持ちになる場面もあります。
もちろん「改善したいこと」について話すわけだから、重たい話になって当然です。しかしあまりにも重いムードが続くと、ふりかえり自体に悪いイメージ・忌避感を持ち、ふりかえり自体から遠ざかってしまいます。

→ 解決方法: おやつ休憩を挟む

現在、わが家の「改善したいこと」を話す流れは以下のようになりました。
まず「改善したいこと」を各々がカードに書いたら、お互いにコメントをテキストで書きます。そして「おやつ休憩」を挟み、そのあと深掘りの会話をします。

おやつは血糖値を上げて脳の栄養になってくれそうな甘いものを選びます。紅茶やコーヒーなど、用意していたおやつに合いそうな飲み物もふたりで一緒に用意します。

まず文章で見て、自分なりに受け止める時間があり、楽しいおやつの時間も挟むので、反射的に言い返すことから喧嘩になる可能性が大幅に下がります。そのころには、最初に感じた「えっ」という衝撃はずいぶん和らいでいます。

余談ですが、元気なうちに「改善したいこと」の話を済ませてしまうという解決方法もあるかもしれません。わが家では「その週のふりかえりで食べるお菓子を選ぶ」という楽しいイベントが一つ加わり、ふりかえりの時間が楽しみになるという嬉しい副作用もあったので、今のやり方を続けています。

ふりかえりへの取り組み方に差が出てしまう

一緒にやると決めたふりかえりですが、お互いがずっと高いモチベーションで取り組めていたわけではありません。
やりたいことがあるときや、ちょっと気になってることがあるとき、単純に疲れているときなど、ふりかえりの場に集中できていないこともありました。

「ちゃんとやってよ」と言い合うのは簡単ですが、集中できないのは集中できないなりの理由があるということです。ただ、これではせっかくのふりかえりの質が保てませんし、最悪ふりかえりのせいで言い争いが起きてしまいます。

→ 解決方法: ふりかえりについてふりかえり、あらためてふりかえりの意義を共有する

どうすべきなのか、一旦休んだほうがいいのかな、と思っていたところ、2022 年に開催されたスクラムフェス大阪で、とてもタイムリーなセッションに出会いました。

ふりかえりをふりかえるための「ふりかえりチェックシート」を使ってふりかえろう!

このセッションで紹介されたのは、ふりかえりがうまくいっているのかをさまざまな観点からチェックし、話し合うためのチェックシートです。ぜひ一度こちらからシートの現物をごらんいただきたいです。

わが家でも、このチェックシートにふたりで取り組みました。
まずは各自でチェックシートを埋めていきます。書き終わったら、ひとつずつ結果を共有していきました。一致しているものもあれば、そうでないものもありました。お互いの抱えていた課題感を共有し、議論し、解決のためにいくつかのアクションが決まりました。ふりかえりに感じていたモヤモヤが解消され、より雰囲気よくふりかえりに取り組めるようになりました。

しかし、シートの効果はそれだけではありませんでした。このシートのチェック項目は、場づくり、アイデア出し、思い出しといった「ふりかえりの要素」ごとに整理されています。
そして、「なぜその要素がふりかえりに重要なのか」「その要素がふりかえりにどう影響をあたえるのか」といった解説が併記されています。
この解説を読みながら自分たちのふりかえりをふりかえり、議論したことで、二人のあいだで「質の高いふりかえりに何が重要なのか」についての共通認識を持てたことが一番の収穫だったように思います。

まとめ

ふりかえりをしてよかったことをまとめます。

  • 問題を家族で共有できる
  • 課題が解決する
  • 悩まなくていい悩みを捨てられる
  • 出来事が蓄積される

また、ふりかえりをよいものにするために取り組んだことは以下のとおりです。

  • ふりかえったことは、毎日確認する機会をつくる
  • ふりかえり自体のふりかえりもする
  • ごきげんでいるために、おやつ休憩を挟む
  • ありたい姿を認識する
  • ふりかえりの意義を共有する

長い記事を読んでいただき、感謝しかありません。
今思い返すと、家族でやってきたことが、この冬からはじめたスクラムマスターとしての仕事にも活かせているのではないかと思っています。

2023 年、プライベートについてもふりかえりをはじめてみませんか?

Twitter でもふりかえりのことなど発信していきたいと思っていますので、興味があれば是非そちらもチェックしていただければと思います!

https://twitter.com/zomysan