概要
- チームで直面していた情報共有の問題と、その解決策としての Google NotebookLM 導入事例を紹介
- Slack、Zapier、Google ドキュメント、Google NotebookLM を連携させた新しい情報共有ワークフローの詳細を解説
- 導入後の効果と今後の展望、さらなる改善点について考察
この記事が役立つ人
- 技術チームのマネージャーや情報共有に課題を感じているリーダー
- スタートアップや成長期の企業で働くエンジニアやデザイナー
- 社内のナレッジマネジメントに興味があるIT部門の方々
- リモートワーク環境下でのコミュニケーション改善を模索している方
はじめに
こんにちは。EC Booster で開発を担当している thiger7 です。最近、私たちのチームで Google NotebookLM を活用した新しい情報共有の仕組みを導入しました。今回は、その経緯と効果についてご紹介します。
きっかけ
ある日のミーティングで、若手のビジネスメンバーからこんな言葉が飛び出しました。
👨👩「質問しないとわからない情報が多いんだよね。仕様書とかもほしいし…」
その瞬間、部屋の空気が少し引き締まるのを感じました。正直、私もその声に心当たりがありました。Slack では日々多くの情報が飛び交っているものの、必要な情報が埋もれてしまい、検索しても見つからないことが多かったのです。特に新しく加わったメンバーは、過去のやり取りや重要な資料を探すのに苦労していました。
そこで考えました。どうすればこの情報の山をもっと効果的に整理し、チーム全体で活用できるようにできるか。目指すべきは、「先輩に質問しなくてもすぐに欲しい答えが見つかる」 仕組みです。こうして、EC Boosterでの情報共有に新しい風を吹き込むプロジェクトが始まりました。
情報の宝庫を無駄にしないために
現在の課題を整理しました。主な問題は次の通りです。
- Slackで情報が流れていってしまう:重要な情報も他のメッセージに埋もれ、後で探すのが大変。
- 新メンバーが苦労する:慣れていないメンバーが必要な情報を探すのに時間がかかる。
- 同じ質問が繰り返される:過去に答えた質問が再び出てきて、対応に時間を取られる。
これらの課題を一気に解決するために、Slack、Zapier、Google ドキュメント(Google スプレッドシート)、そして Google NotebookLM を連携させた新しい情報共有のワークフローを導入しました。
ストレスフリーな知識共有への道
情報共有改善プロセスの概要
結論から説明すると、以下の4ステップのプロセスにより実現しました。
- Slack:重要メッセージに特定の絵文字でフラグを立て、情報を抜粋
- Zapier:フラグ付きメッセージを自動検知し、Googleドキュメントに転記
- Googleドキュメント:転記された情報を一元管理し、アクセス性を向上
- Google NotebookLM:蓄積情報をAIが整理し、質問に自動回答
次に、4つのステップの詳細について説明していきます。
1. Slackでの情報の整理
まずは日常的に使っているSlackの活用方法を改善しました。重要なメッセージに特定の絵文字(manual_ecbooster
)を付け、目印をつけるようにしました。このシンプルな一手間が、後々大きな効果を生むことになります。
2. Zapier での自動転記
Zapierを使用して、Slack上で特定の絵文字が付けられたメッセージを自動で検知し、Google ドキュメントに転記する仕組みを構築しました。これにより、重要と判断された情報は即座にクラウド上のドキュメントに保存されます。同時に、投稿者や日時、Slackリンクなどのメタデータも Google スプレッドシートに記録されるので、後から詳細を確認するのも容易になりました。
参考: Zapier
3. Googleドキュメント(Googleスプレッドシート)での情報蓄積
Slackでフラグが立てられた情報はすべてGoogle ドキュメント(Googleスプレッドシート)に集約され、いつでもアクセスできるようになりました。以前は過去の会話を遡るのに時間がかかっていましたが、今では重要な情報が一元化されているため、探す時間が大幅に削減されました。
4. Google NotebookLMで知識を活かす
蓄積された情報は Google NotebookLM にアップロードされます。NotebookLM はただの保管場所ではなく、AIの力で情報を整理し、チームメンバーの質問に対して最適な回答を自動で提供してくれる賢いシステムです。これにより、同じ質問を繰り返す必要がなくなり、業務効率が飛躍的に向上しました。
参考: NotebookLM | Note Taking & Research Assistant Powered by AI
導入後の効果
この情報共有の仕組みを導入してから、チームの業務効率が驚くほど向上しました。
- 情報の永続化:Slack上の重要な情報が自動的に保存され、もう流れていく心配がなくなりました。
- スムーズな知識移転:新しいメンバーも Google NotebookLM を使えば必要な情報をすぐに見つけられるようになり、慣れるまでの時間が短縮されました。
- 質問対応時間の削減:頻出する質問には NotebookLM が即座に対応してくれるので、先輩メンバーは他の仕事に集中できるようになりました。
今後の展望
このシステムの導入で大きな効果を得られましたが、さらなる改善の余地があります。
- 情報の分類と検索精度の向上:情報量の増加に伴う検索性能の低下に対応するため、蓄積する情報のカテゴリ分けを行い、検索精度を向上させていきたいと考えています。
- 自動アップロードの実現:Googleのアップデート次第ですが、現在は手動で行っているNotebookLM へのデータアップロードの自動化を目指しています。
- Slack と Google NotebookLMの直接連携:最終的には、Slackでのやり取りが直接 Google NotebookLM に反映されるシームレスなワークフローを構築したいと考えています。
補足: Slack AIの導入について
Google NotebookLM の導入を進める一方で、Slack AI の導入も検討しました。Slack AI は過去の話題をまとめたり、情報を整理したりする点で非常に有用に感じられましたが、いくつかの課題がありました。
- コスト面: Slack AI を Workspace全員に適用する必要があり、費用が高額になる点
- 効果の不確実性: 膨大な情報から必要な情報を適切に抽出できるか不明確で、費用対効果が見えにくい点
これらの理由から、現時点では Slack AI の導入を見送ることにしました。
今後も、費用対効果を見極めながら最適なツールを選定し、導入することでチーム全体の生産性向上を目指します。
まとめ
「質問しないとわからない情報が多い」という声をきっかけに始まったこのプロジェクトですが、今ではチーム全体がスムーズに情報を共有し、必要なときに即座にアクセスできる環境が整いました。技術の進化に伴い、私たちの働き方も日々進化しています。このような新しい仕組みを導入し、さらなる効率化を図ることで、デジタルマーケティングの分野でも競争力を維持し続けられると考えています。
今後も、最新の技術を駆使して常に改善を続け、より良いサービス運営を目指していきます。皆さんの組織でも、情報共有の課題に直面していましたら、ぜひこの方法を参考にしてみてください。