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Causal Impactを用いた入札単価調整の効果検証

こんにちは 機械学習エンジニアの八百俊哉です。最近はバレーボールをやることにハマっており、激しめに運動しています。今日も筋肉痛です。

今回はGoogle広告の入札単価調整が広告成果にどのような影響を与えるのかCausal Impactを用いて検証を実施しましたので、その結果を共有したいと思います。

分析背景

弊社のサービスEC Boosterは、Google ショッピング広告の自動運用による自社EC自動集客サービスです。主要ECシステムと連携することで、Google の検索結果画面に画像付きで自社商品を訴求することが可能となります。

Google 広告には入札単価調整という機能があり、それをショッピング広告でも使用することによって効率的に広告配信を行うことができるとされています。 そこで今回はEC Boosterで入札単価調整を実施することで、どれほど広告の実績がよくなるのかを検証しました。

Causal Impactを用いた効果検証

今回使用した効果検証の方法であるCausal Impactをご紹介します。

Causal ImpactとはGoogleが作成したベイズ構造時系列モデルを使用した因果推論のためのパッケージになります。

仕組みを簡単に表現すると、あるイベントが介入した日を境に「過去の実績から推定される反事実」と「実際に観測された事実」を比較することによって、イベントの効果の大きさを測ると言うものです。

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今回は実際に検証したことを紹介する記事になりますので、これ以上詳しくCausal Impactの仕組みについては言及しないです。 より詳しくCausal Impactについて知りたい方は以下の書籍が参考になるので是非読んでみてください。

www.amazon.co.jp

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入札単価調整はコンバージョン率に良い効果をもたらしている

入札単価調整を実施することで、広告効果の高いユーザーに対して積極的に入札を行うようになり、逆に広告効果の低いユーザーに対しては入札を控えるようになります。

そのようにすることで、コンバージョン率の向上が期待されていました。コンバージョン率が向上するとコンバージョン数が上がり、最終的には費用対効果であるROASの向上までが考えられます。

実際に分析前に立てられた仮説は以下です。

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分析前に立てた仮説

それでは実際に入札単価調整を実施することで、広告成果がどう変化したのかを紹介します。

入札単価調整を行う前の実績と入札単価調整を行った後の実績を用いてCausal Impactを実施しました。

その結果以下のようにそれぞれの広告成果に入札単価調整が影響を与えているということがわかりました。

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分析を実施することで分かった結果の一部抜粋

結果からコンバージョン率が向上することによってコンバージョン数が向上していることが確認されました。(他の要素も向上していますが、今回はコンバージョン率に焦点を当てています)

実際にCVRに関してのCausal Impactの実行結果は以下のようになっていました。(一部公開できない部分は黒くしてます)

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上段に図示された実線が実際に観測されたコンバージョン率で青い点線が過去の傾向を元にした予測コンバージョン率になります。入札単価調を開始した縦の点線の位置から、予測コンバージョン率(入札単価調整を仮にやっていない場合)よりも実際に観測されたコンバージョン率(入札単価調整を実施した場合)の方が大きくなっていることがわかります。

中段に図示されたものが入札単価調整の効果となります。入札単価調整を実施してから、コンバージョン率が増加したといえそうです。

下段に図示されたものは増加したコンバージョン率の累計値になります。

このようなことから入札単価調整は、コンバージョン率向上に貢献していることがわかりました。

そして現在入札単価調整は

このような分析もあり、EC Boosterでは現在入札単価調整は全てのユーザーに対して適用されるように設定されています。

このようにEC Boosterの裏側では効果検証を繰り返し、より広告成果が良くなるように最適化を実施しています。

さいごに

最後までお付き合いいただきありがとうございます。 弊社のデータ分析チームに新卒入社してはや2年弱ほど経過し、少しずつ成果が出せるようになってきました。

今後はより積極的にデータ分析に関する情報発信を行っていきたいと考えています。よろしくお願いします。

P.S.祖父母に自分の仕事伝えるのが難しいです。